今回はバレエレッスンにおけるマナーや決まり事(暗黙の了解)を一挙総まとめで御紹介したいと思います。
この記事では現在の日本国内において、まだマナーや決まり事(暗黙の了解)として当てはまりうる事項を取り上げていますので、バレエ教室の体験レッスンや初めてオープンクラスに参加した時などの参考にしていただければと思います。
特にバレエレッスン初心者の方は、日常生活にはないバレエレッスン独特のマナーや決まり事(暗黙の了解)もありますので、熟読していただいてレッスンにのぞんでもらえればと思います。
※長文(約7,600文字)なので、お忙しい方は目次のみの確認で十分だと思います。
★こんな人向け対象の記事です★
◎バレエレッスンのマナー・決まり事(暗黙の了解)等をおさらいしときたい方
◎バレエレッスン初心者の方
◎バレエ教室の体験レッスンを考えている方
◎他のバレエ教室・オープンクラスのレッスンを検討している方
◎バレエ教室を運営していて、生徒にマナーの基本を知ってほしいという指導者
レッスン前後
レッスン料はピッタリの金額で支払う
レッスン料は、おつりが出ないようにピッタリの金額を準備していきましょう。
最近はおつりを用意しているバレエ教室もありますが、生徒が一斉に先生のところに来て支払うことになると、先生の処理が大変になりレッスン時間にも影響が出ますので、マナーというより効率性を考えてジャストの金額を用意したほうがいいです。
新札やのし袋を使用しての支払いを、常識として求める教室もありますが、それが大変なようであれば最低限ピッタリの金額を先生に出しましょう。
先生が稽古場に入ってきたら、立って挨拶する
きちんとした挨拶を、先生はもちろんスタッフや他の生徒さんにもするのは当たり前ですよね。
忘れがちなのが、稽古場で先生が入ってくる前にストレッチなどして座っている時です。
先生が入ってきたら、ちゃんと立ち上がって挨拶しましょう。
座りながら挨拶している人がいますが、一度ストレッチを止めて、立ち上がった上で挨拶しましょう。
小中学校で授業の前に立ち上がって挨拶していたと思いますが、それと同じことで教わる側は指導者に敬意を示していきましょう。
遅刻してしまったら、音楽が止まってから入る
もちろん基本的に遅刻は厳禁で、できれば15~30分前ぐらいに教室に入ってストレッチなどをしているべきですが、特に大人バレエクラスの方は、仕事などでやむを得ず遅れることもあると思います。
その場合はレッスンで流している音楽が止んだら、静かに(申し訳なさそうに)入りましょう。
音楽が鳴っている最中に堂々と入ってくる人を見かけますが、扉の開け閉めの音がうるさかったり気が散るので、音が鳴り止んだのを見計らって入室しましょう。
レッスン後は退室前にもう一度先生に「ありがとうございました」と言う
ケース・バイ・ケースですが、稽古場を出る前に先生がまだいたら、もう一度「ありがとうございました」と言いましょう。
レッスンが終わった直後に、一度お礼の言葉を全員で口にはしてますが、退室する前に先生のところに行き、もう一度お礼の言葉を口にするのがマナーとされている教室もあります。
先生がまだ教室にいるのに、何も言わずに出るのではなく、もう一度個人で「ありがとうございました」というと、お互い気持ちいいしスマートです。
教室を掛け持ちしていることは言わない
まれに他のバレエ教室と掛け持ちしていることを、大っぴらに先生や周囲の生徒さんにオープンにしている人がいますが、積極的に言うのは控えましょう。
教室側が掛け持ちを可としていたとしても、先生としてはいい気分ではないことは理解しておくべきです。
自分の教えを信じて自分だけのレッスンを受けてくれる生徒と、いろんなところで掛け持ちをしていることがわかっている生徒とでは、教える熱量の違いも出てきます。
そうなる普段のレッスンにも影響してくるので、必要性がなければ、むやみに掛け持ちをしていることは言わないほうがいいでしょう。
バー&センターレッスン共通事項
レッスン中、私語はつつしむ
当然かもしれませんが、レッスン中は私語は厳禁です。
たまにバーレッスンが終わった後のストレッチで、一息ついたようにベチャクチャとおしゃべりを始めてしまう人がいますが、休憩時間ではないので控えたほうがいいでしょう。
もっともアットホームなバレエ教室の大人クラスでは、先生が積極的に世間話をしているところもあるので、その時は多少のおしゃべりはいいかと思います。
振りが分からなければ先生に聞く
振りを覚えられず、「どうしよう、どうしよう」となって隣の人に「この動きの次はどうだっけ?」と質問している人がいますが、できれば他の生徒ではなく、先生に質問しましょう。
聞ける雰囲気でないなら、あとで先生に聞くか、あきらめて他の人の動きを見て復習しましょう。
先生によっては自分がないがしろにされていると感じるし、稽古場に責任を持っているのは目の前の指導者なので、他の生徒に聞くのは慎むべきです。
もちろん、最後の形がアンオーがアラスゴンドかぐらいなら状況によってはいいかもしれませんが、師弟関係上まずは先生に聞くという姿勢は忘れないようにしましょう。
先生が振り出し中の時に、ストレッチはNG
先生が振り出し中の「ながらストレッチ」もあまり聞く態度としていいものではありません。
たまにバーに足をかけて先生の話を聞いていたり、足を回して股関節のストレッチをしている人がいますが、基本的には先生のほうを見て、振りの動きの確認をしましょう。
簡単な振りだとついやりがちですが、先生のほうに体を向けて話を聞くべきです。
先生が振り出し中の時に、座り込まない
レアケースかもしれませんが、一つの振りが終わったら、座り込んで(ご丁寧に体育座りをして)一息ついていた人がいました(笑)
学校の体育の授業の延長で?そういう風に座りだしたのか何なのかわかりませんが、レッスン中は基本的に立ったままですね。
レッスン経験の長い人には「そんな人がいるのか」と思うかもしれませんが、大人クラス(超入門クラス)で過去に3人ほどいらっしゃいました・・・。
「座らないほうがいいですよ♪」
と教えてあげたら「あっ、そうなんですか」とすぐに立ち上がったので、お稽古事にあまり触れてこなかった人は、悪気はなくやってしまうのかもしれませんね。
腕組みをしない・腰に手を置かない
ついやりがちなのがこれですね・・・。
無意識にやってしまいがちですが、先生の側から見るとあまりいい態度ではないので、避けるようにしましょう。
特に腕組みをしていると、なんだか偉そうな感じにも見えてしまうので、レッスン中は先生の振りを覚えるために、軽く手足を動かしながら振りの定着に努めましょう。
バレエピアニストの視界の邪魔をしない
ほとんどの教室ではレッスン曲の音源はCDを使用していますが、オープンクラスのバレエスタジオにいくと、生ピアノの伴奏でレッスンをしているところがあります。
この時に伴奏してくれているピアニストを、バレエピアニストと呼んだりしますが、ただピアノを弾いているだけではありません。
我々と同じように先生が出す振りを確認したり、踊りの際中でもダンサーを見ながらテンポの調整などをしています。
なので、ピアノのそばで順番待ちをしたり動いたりするときは、バレエピアニストの方の視界を邪魔しないように気をつけましょう。
教室のマナー・決まり事・やり方に従う(最重要)
これ一番大事ですよ!
バレエ教室によって採用しているメソッドも違うし、アプローチも様々です。
他の教室では違ったやり方でも、また別の教室では異なった方法でレッスンしていることもありますし、「郷に入っては郷に従う」ではないですが
今そこで習っている教室のやり方を尊重して、レッスンに取り組みましょう!
レッスン中に「どこどこの教室ではこうやってましたけど」と平気で言ってしまう大人バレエの方がいましたが、非常に残念な態度でした。
この記事もマナー・決まり事(暗黙の了解)をテーマにしていますが、これらがすべてのバレエ教室に共通している訳ではありません。
ぜひ柔軟な姿勢で取り組んでもらえればと思います。
「GongBlogでは、こう書いてありましたよ!」
なんてくれぐれも言わないでくださいね!(笑)
バーレッスン
バーの立ち位置の決まり方に注意する
バーの立ち位置の決まり方は教室によって様々です。
先生が指定したり、早い者勝ちだったり。
教室によってはベテランさんの位置が暗黙の了解で決まってたりする掟みたいなものがあるので、初めての教室やオープンクラスでは注意しましょう。
できればベテランさんは初心者に配慮して、周りを見やすい位置を譲ってあげる気遣いがほしいですね。
プレパレーションに気をつける
プレパレーションのやり方も様々です。
詳細は下の過去記事を参考にしてほしいですが、ざっくりと2種類あります。
1.両手アンバーから→アンナバン→アラスゴン
2.片手はバーに手を置いて、片腕だけでアンバー→アンナバン→アラスゴン
特に決まってなく、みんなバラバラのところもありましたが、厳格に決まっているところもあったので、始めは周りを見て合わせるといいでしょう。
バーにタオルをかけない
たまに見かける、このバーにタオルを引っかける行為・・・。
バーレッスンは同じ位置にずっと立ったままではなく、タンリエなどけっこう前後の移動をすることも多くて、移動先にタオルがあったりすると手の邪魔になってしまいます。
悪気なくかけてしまっているのだと思いますが、タオルは汗を拭いたりしているものでもあるし衛生上良くない面もあるので、床の隅などに置くようにしましょう。
床が嫌ならペットボトルや水筒に引っかけるなどの工夫をして、周囲の邪魔にならないところに置きましょう。
先生の振り出しの動きを、周囲の人が見えやすいように配慮する
先生がバーを使って振りだし中、バーの延長線上に人がいると後ろの人が見えなくなります。
自分の後ろの人や周囲の人が見えやすいような位置に立つようにしましょう。
教室によっては一つの振りが終わるごとに、みんなが先生を見やすいように、全員が一度壁際によって先生の話を聞く形を取っているところがありましたが、そうでない教室もあったので、そういうところでは周囲に気を配るようにしましょう。
バーに寄りかかって先生の話を聞かない
たまにバーに寄りかかって先生の話を聞いている人がいました。
前述した腕組みをして聞く人と同じで、聞く態度として良くないのですが、バー自体にも余計な負荷がかかるのでやめましょう。
壁に取り付けたバーに寄りかかっていて、バーが負荷に耐え切れず、はずれてしまった事例がありました。
グランバットマンは足が人に当たりそうなら、柔軟に向きを変える
教室のスペースが手狭だったり、人数が多いクラスなどでは、グランバットマンなどで周囲の人を蹴飛ばしてしまう可能性があります。
そういう時は柔軟に体の向きを変えて対処しましょう。
特にグランバットマン・デリエールなどは当たらなくてもちょっと後ろの人が怖い思いをするので、気をつけるようにしたいところですね。
反対側に行く時、バーを背にして回らない
これは慣習的なものですが、一応こういう決まり事を設定している教室がありましたので、御紹介しておきます。
左手バーが終わって、そこから反対側の振りをするために体を回す時
「左回りで回り、後ろを向く」
のが、正式な反対側への行き方としている教室がありました。
右回りでバーを背中に向けるのでなく、左に回って、もう片方の振りを右手バーで始める感じですね。
どっちでもいいのでは??という疑問もありますが、メソッドの中にはこのような指定があったりします。
具体的な理由などの詳細は下の過去記事にありますが、一応こういう決まりを貫いているバレエ教室もあるので注意しましょう。
バーをくぐってはいけない
これも少数派ですが、バーをくぐって移動しないように指導しているところがありました。
中央に設置された可動式のバーの場合ですが、壁際などに寄るために移動する時、バーの下をくぐってショートカットすると怒られます。
教室の広さなども関係してくるし、バーが長いものだと、くぐらなければかなり遠回りになるので、一概にバーをくぐるのがいけないことではないと思いますが、教室によっては
「ダンサーがバーをくぐるのはみっともない」
という先生もいたので、初めての教室などでは前からいる生徒さんの行動を見ながら臨機応変に対応していきましょう。
センターレッスン
自分の番でない時に、後ろで別の振りをしたり、大きな動きをしない
人数が多くて、例えば2つのグループに分けてセンターレッスンを行う時、自分の番ではない別のグループがやっている時は
後ろで大きな動きをするのは控えましょう。
前でやっているグループが、鏡を通して後ろの人達の動きが見えて、気が散ってしまいます。
教室によっては待機場所を後ろではなく、横にしているところもあるぐらいです。
振りの確認をしたいなら少し手足を動かすぐらいにして、前の人の邪魔にならないように自分の番の準備をしていましょう。
自分の番が来たら、もたもたせず素早く定位置につく
自分のグループの番が来たら、素早く定位置にいきましょう。
けっこうのんびりと立ち位置に行く人がいますが、先生に音楽を流すのを待たすことになっていますし、またそれだけみんなのレッスン時間を奪ってしまっていることになります。
センターレッスンの最初の振りで、その日の自分の立ち位置は決まっているはずなので、自分があとのグループなどの場合、先のグループが終わったら、速やかに定位置にスタンバイするようにしましょう。
列を乱さない
列の並び方は指導者によっていろいろですが、一度決まった陣形は崩さないようにしてレッスンしましょう。
どのバレエ教室もだいたいは自分の鏡が見える場所に交互に並ぶ形だと思いますが、グリッサードなどで移動する場合でも、陣形は崩さず周囲を意識しながら動きましょう。
センターレッスンはコールドの練習でもあるので、周囲と呼吸を合わせながら踊るのも大事な訓練です。
初心者の方などは振りを追うのに精一杯で、周囲のことなんか目に入らないかもしれませんが、少しでも周りの動きを意識して踊れるようになればいいですね。
振りを忘れても止まらない
動いている最中に、振りをど忘れするのは誰にでもあるものですし、経験の浅い方はなかなかすぐに覚えられないものです。
でもたとえばアレグロやグランワルツなどで、頭が真っ白になっても、動きは止めないようにしましょう。
動きを止めると、他の人の進行方向を塞ぐことになってしまうこともあり、ぶつかると危険ですので、たとえ振りをど忘れしても動きだけは止めないようにしましょう。
忘れてもそ知らぬ顔で動き続けるのが、大人バレエテクニック(?)の一つですよ♪
はける時は、横や斜め前方向へ
グランワルツが終わってはける時に、後ろへ行ってしまう人が特に初心者に見られますが、後ろから来る人の進行を妨げることになるので、横か斜め前方向に行くようにしましょう。
本番の舞台でも、はける時は横の袖に行くものですし、レッスンでもはける方法をおろそかにせず実際の舞台を想定しながら練習したほうがいいでしょう。
センターレッスンでの動きは、舞台で踊っている時と同じ状況なので、はける時も舞台袖に引っ込むつもりで行えればいいですね。
男性は後ろに立ち、グランワルツ等は最後にやる
男性限定のお話しですが、センターでは男性は後ろに位置取りしましょう。
基本的に男性は、女性の身長差や動きの大きさを考えて、後ろのほうにいたほうがいいですし、実際ほとんどのバレエ教室で男性は後ろに行くように指示されます。
またアレグロやグランワルツなどで、男性は複数いる場合は男性のみでやりますが、女性を交えて踊る場合は最後のグループに入り、また後ろのほうで行いましょう。
グランワルツは女性と一緒にやると、動きの大きさが違うことにより衝突する危険性があるので、個人的にはあまりやりたくはないのですが、混合でやる場合は女性に怪我をさせないように注意して動きましょう。
最後に
若い先生は、年配の生徒にマナー等の注意をしづらい
先生も人間なので、特に若い先生だと自分より年上の年配者には注意しづらいものです。
それがマナーに類するものだとなおさらですよね。
なので、一度自分のレッスン中の行動を見直してみるのもいいことでしょう。(年配の方は特に)
マナーは分かっていても、たまに抜けてしまうことがあるものなので、その都度意識して振り返ることが大切です。
マナー・決まり事(暗黙の了解)は、時代や場所によって流動的
また、マナーは時代や場所によって流動的なものなので、臨機応変に対応しましょう。
かれこれ30教室以上のバレエ教室やバレエスタジオのオープンクラスを巡ってきましたが、あるバレエ教室ではNGでも、別の教室では許容される(気にしない)こともしばしばです。
海外でもレッスンを受けてきましたが、国や先生の国籍によってもマナーの捉え方はいろいろでした。
どの教室、どのスタジオに行っても、柔軟な姿勢でマナーや決まり事に取り組めれば、バレエだけでなく人間としても成長でき、世界がさらに広がっていきますよ♪