今回は足の2番ポジションに移る際の踏み変えについてお話ししたいと思います。
オープンクラスに出たり、教室を変えたりすることがありますが、そこではそれぞれの指導者がいろんなやり方で、バレエ上達のアプローチを模索しています。
今までもオープンクラスなどに出る際の注意点を、いくつかご紹介してきましたが、今回は足の踏み変えの是非も絡めながらお話ししたいと思います。
バレエレッスン初心者や初めて教室を変える方を対象にしていますが、長くレッスンを継続されているとよく出くわす問題なので、ある程度経験を積まれた方でも参考になると思います。
2番ポジションの踏み変えとは?
まず、2番ポジションの踏み変えの定義ですが
バーレッスンの始めの方にある「プリエ・プリエ・グランプリエ」の振りで、1番ポジションが終わり2番ポジションへ移る時に、まずバーの反対側の足をタンデュで外に出しますが、その後にバー側の足をタンデュすることもあり、これを踏み変えと一般的に呼ばれています。
踏み変えについて教室側の対応3種類
上の定義を踏まえて、バレエ教室での対応の違いをざっくりと3つに分けて分類してみます。
1.踏み変えるように指導
2.踏み変え禁止
3.指導も禁止もしていないが、足の幅については指導している
一つずつ細かく見ていきましょう。
1.踏み変えるように指導
傾向的にロシア派以外の教室で、この方法を採用しているような気がします。
この方法だと2番ポジションにした時に、バーの腕の位置が離れにくく調整がしやすいです。
ただ、バー側のタンデュが入ることにより軸足を動かすため、いったん身体の軸の位置が動くことになります。
また、テンポ感のない人は音に乗りながら、片方ずつ足を動かして調整するのに戸惑うかもしれません。
2.踏み変え禁止
これはロシア派に多く、特にワガノワメソッドでは厳しく踏み変えを禁止しています。
踏み変えない場合は、最初のプレパレーションでの立ち位置をバーに寄っておかないと、バーと逆側の足をタンデュする時に、バーから手が離れてしまうので、最初の立ち位置に注意しましょう。
踏み変えがなければ、軸足が動かないので、身体の軸を維持したままレッスンすることができますね。
3.指導も禁止もしていないが、足の幅については指導している
特に踏み変えを容認も禁止もしていない教室もありました。
ただその場合でも、2番ポジションの足幅についての注意はありました。
大人バレエの世界では、2番ポジションの立ち方が同じ教室でバラバラだったりすることがよくあります。
足幅は狭すぎてもいけないし、広すぎてもいけません。
足幅については、一般的に足一つ~一つ半ぐらいと言われていますが、メソッドによって違ったりするので教室の先生に確認するといいでしょう。
踏み変えの有無について特に指示がない場合、踏み変えをするかしないかは、教室側の考える足幅の長さや、個人の足や腕の長さ・身長・教室に備えられているバーの高さなどが関係してくるので、それぞれのやりやすさで選択すればいいでしょう。
身体の軸の動きや、足幅の開き具合も意識しながらレッスンするといいですね。
踏み変えすることへの批判的意見
以下は前に自分がツイートしたものですが、かつてこんな方がいらっしゃいました。
#バレエ
「ネットで2番ポジションの踏み変えはNGとあったから、踏み変えてるこの教室はダメ」と言ってレッスンに来なくなった人がいた😰確かにワガノワなどはそうだけど、禁止してないメソッドもあるし、その教室は過去に生徒をバレエ団に入れたり、国際コンクールでも結果を出してたから、何か残念💦— ゴン@バレエ好き or ウィリに囚われし者 (@GONGZHImogutubu) April 5, 2022
おそらくネットやYouTubeなどで
「踏み変えをする指導者はダメなやつ」
と言っていたのを見たからだと思いますが、実際のところ踏み変えをしていても、コンクールなどで立派に実績を出している教室やバレエ学校もあります。
また、いくつかのメソッドでは、踏み変えを禁止してはいません。
もちろんロシア派を標榜して踏み変えていたら問題ですが、踏み変えを認めていようがいまいが、立派な実績を出しているところは出していますし、出してないところは出していません。
メソッド云々より、結果だけ見ればあまり大きな影響はないと思うので、ネットの意見を鵜呑みにして教室を変えてしまうのはちょっと早計すぎるでしょう。
他の流派を非難・否定しがちなのはバレエ界でも同じ
踏み変えに限らず、アロンジェやデヴェロッペの高さから顔の向き・視線の方向も、同じメソッド内で考え方が違っていたりすることもあります。
堂々とYouTubeなどで
「踏み変えをしないのがバレエの常識で、やっているやつは愚か者」
と言わんばかりの勢いで宣言する指導者は、いくら立派な肩書を持っていても、新興宗教に見られる硬直した発想の持ち主にように見えますし、バレエ以前にどこか問題がある人のようにも感じます。
禁止というなら、「ワガノワの場合は禁止していますよ」など但し書きをつけるべきで、すべての流派に当てはまる普遍的なものみたいな言い方は避けるべきであると思います。
他の流派を批判したりするのはどの芸術分野でも同じですが、生徒側がレッスンを受ける時は、考え方やアプローチ方法は様々であることを心の片隅に置きながら、柔軟な対応と発想でレッスンにのぞんでいきましょう。
最後に
バレエ教室によって踏み変えの有無は異なりますが、違いを意識しながらレッスンにのぞめるといいですね。
バレエ教室を変えたりオープンクラスに出たりして指導者が変わったりすると、それに伴いアプローチも変わってきますから、違いを楽しむぐらいの気持ちでレッスンに取り組めば、世界が広がって楽しいですよ!