今回は、大人でも頑張ればポール・ド・ブラなどの上体の動きは美しく見せることができるというお話しです。
前に、とある発表会を見ていた時に、大人バレエですが、とても美しく踊っていた年配女性がいらっしゃいました。
10人ぐらいが一緒に踊るコールドだったし、動きも少なめでしたが、その方だけ目立っていました。
そこから、大人バレエは上体の使い方で差がつくことを発見したのですが、その時の発表会の様子を交えながらお話ししたいと思います。
上体の使い方が上手な年配女性
その発表会の女性は、ポール・ド・ブラが美しいので、目立っていました。
しっかりと引き上げが伴っていて、しかも腕だけでなく、胸などの使い方も上手でした。
また顔の向きなども、上体の使い方と連動していて、ポール・ド・ブラがよりダイナミックに見えました。
50代ぐらいで、さすがに足はなかなか思うようにいかず、膝や足先はあまり伸びてはいませんでしたが、上体の美しさが際立っていたので、それが下半身の欠点をカバーしていたような気がします。
もちろん上手と言っても、大人バレエ的にということですが、彼女の上半身の動きはジュニアクラスの子供たちよりもきれいでした。
上半身は下半身に比べれば老化の影響は少ない
このことから言えることは
上体に関しては若い人に勝てる余地がある
ということです。
足の動きなどは、残念ながら老化による身体能力の低下により、なかなかスムーズには動きませんが、上体の衰えるスピードはまだ下半身に比べれば緩やかです。
正確には、引き上げや背中の筋肉などは下半身とのつながりがあり、上体と無関係でなく、腰から上と下が完全に分断されているわけではないのですが、腕や胸の使い方と顔の方向付けに関しては老化の影響が少ないと言えるでしょう。
大人バレエは上体の使い方を極めよう!
なので、大人バレエの皆さんは、上体の使い方だけは極めていきましょう!
もちろん下半身も日々の鍛錬で良くはなりますが、いかんせん、老化現象が邪魔してきますし、上達より衰えるスピードのほうが早いものです。
上体だけの練習であれば、自宅で洗面台の鏡の前で練習することができますし、窓ガラスに映る自分の姿も利用できます。
極端に言えば、腕の美しい運びを習得するコツをつかむことができれば、上半身に限ってはぐんぐん上達できると言えます。
ポール・ド・ブラなどがきれいにできれば、通常のレッスンにおいてもかなり目立つはずです。
ですから、隙間時間があれば、自宅でストレッチを普段するように、上体の練習をすることをルーティンに加えるといいと思います。
ウリヤーナ・ロパートキナのポール・ド・ブラの練習映像
上体の練習だけと言うのは、プロもやっていたりします。
下の動画はウリヤーナ・ロパートキナが、パキータのエトワールのヴァリエーションをやっているところです。
ピアノに合わせて、美しいポール・ド・ブラを見せてくれています。
上体だけでも美しい踊りにしてしまうところはさすがですが、大人バレエもこれを見習って、日々のバーレッスンなどもきれいに見せていけるようになればいいですよね。
車椅子に乗って踊る少女
ちなみに大人バレエの上半身の重要性を感じたきっかけは、先に挙げた年配女性のケースだけではありません。
2008年の北京パラリンピックの際に、開幕式で見た車椅子の女の子の踊りを見たことから思ったということもあります。
その女の子は、李月さんといってバレエが大好きで熱心に練習していたにもかかわらず、四川大地震で左足を失った女の子でした。
その時はその車椅子の女の子のことはまったく知りませんでしたが、踊りを一目見るだけでバレエ経験者であることわかるポール・ド・ブラでした。
たとえ足を失って車椅子に乗っていても、腕の動きだけでバレエをしていることがわかったので、改めて上体の使い方が重要であることを感じました。
最後に
あるバレエ学校の校長先生が
「腕の美しさは、時として足の欠点を隠してくれる」
みたいなことを話していたことがありますが、大人バレエの皆さんも上体の美しい使い方に活路を見いだすのもありかと思います。
もちろんバレエは上半身だけではないので、日々のレッスンで足腰を鍛えるのも大事ですが、老化という限界を考慮に入れると、上半身の動きに関してだけは子供に負けないぐらいの上達の余地があると言えます。
上半身の使い方で大人は大きく見映えが変わってくるので、ぜひ「上体だけの練習」も取り入れて見映えある踊りを目指していきましょう。