今回は大人バレエでも「発表会で見映えのいい踊り」を見せるためのポイントを、やや強引に5つに絞って、ご紹介したいと思います。
注意点が5つを超えてくると、特に経験年数が浅い方は、なかなか頭に入らないし、身体もついてこないので、まずは今回紹介する5つだけでも意識しましょう。
この5つだけでも完璧なら、大人バレエ的にはかなり上手な部類に入ることができるはずです。
実際に初めて発表会に出る人達に、5つは厳しいので3つだけでも任意に選んでもらい、それをひたすら気をつけて踊ってもらったら、他の初心者の人よりは綺麗に踊れていました。
もちろん本来バレエで気をつけることは、5つじゃおさまらないものですが「今回の発表会では、ここを気をつける!身につける!」と決めると、大人バレエでもぐっと見映え良くなるはずです。
記事は経験年数の浅い大人バレエを対象としていますが、バレエ学習者なら誰にでも当てはまるものなので、踊りの参考になると思います。
★こんな人向け対象の記事です★
◎初めてのバレエ発表会を控えている大人バレエの方
◎バレエ発表会で少しでも、大人なりにも映える踊りにしたい方
◎バレエ教室で大人クラスを指導している方
出した足の膝・足先が伸びていない
何事もはじめの一歩ですね。
最初に出す足の膝や足先が曲がっていると、かなり目立ってしまい、すぐに大人から始めた人とわかるものです。
例えば、よく見られる振りである「トンベ・パ・ド・ブレ~グリッサード~アッサンブレ」の足など、飛ぶことに意識がいってしまうのか膝が伸びてないのが散見され、一番大事な始めの部分がおざなりになっていることが多いです。
プロのダンサーのように綺麗に足を伸ばすことはなかなか難しいかもしれませんが、できる限り足全体が直線になるようにして足を出すように心がけましょう。
「人間は秩序だったものに快楽を見出す動物なので、正方形や完全な丸、そして真っすぐな線に心地よさを見出す」
とある心理学者が言っていました。
最初の出だしが真っすぐな足だと、それだけで人は美しさを無意識に感じるものなので、特に始めの一歩は、直線の足を見せれるよう最大の注意を払いましょう!
アラベスクで後ろの足のかかとが丸見え
バレエのポーズの代名詞と言われる「アラベスク」。
レッスンでも発表会でもかならず出てくる形ですね。
でもこの夢の世界にいざなうはずのポーズで、後ろ足のかかとが見えてしまったり、膝が伸びていないケースが散見されます。
ざっくり言うと、アラベスクはバーレッスンの第1ポジションの足で、しっかりアンドゥオールしたままタンデュ・デリエールして、そのまま足先を引っ張られるように床から離していけばそれなりの形になるものですが、そのあたりの基礎ができていないと6番ポジションにで後ろ足が上がることになり、かかとが丸見えになってしまいます。
後ろ足の膝が曲がることに関しても、足を高く上げようとすることより、足先から引っ張られるような意識で伸ばしていけば、曲がることはありません。
また、プロのダンサーの写真に出てくるような美しいアラベスクに憧れるあまり、背中の柔軟性が十分でないにもかかわらず、足をとにかく高く上げようとして、上体が前のめりになってしまっていることも多いです。
初心者のうちは、アラベスクは足を高く上げようとすることよりも、とにかくアンドゥオールを意識して、お客さんにかかとを見せないようにすることを心がけたほうがいいでしょう。
普段のレッスンを丹念に続けて、背中の柔軟性や腹筋・背筋などの筋力がついてくれば、だんだんと後ろ足は上がるようになるので、まずは45度ぐらいでいいので、綺麗に見えるようにすることを目指しましょう。
肩が上がって、肘が落ちて、腕がグラグラ
プロのダンサーを見ていると、肩回りがきれいで、美しい首筋が印象的です。
大人バレエでは肩が上がっているのがよく目につきますが、それだと首が短く見えるし、息苦しい踊りにさえ見えてしまいます。
肩を下げるように指導者から言われることもあると思いますが、けっこう引き上げができてないことから、肩が上がってしまうことが多いです。
常に頭上から吊られているように引き上げを保てば、首筋が伸びて自然と肩がおりやすくなるものですが、そのような感覚を維持しないとすぐに肩も上がってしまいます。
また、肩のほかに目立つものとして、肘が落ちてたり、動いているときにアラスゴンの腕がグラグラと揺れてしまうこと挙げられます。
肩が上がったり体の軸がブレたりするのは、引き上げという身体の上下の引っ張り合いがないことで起きますが、肘落ちや腕のグラグラは、左右の引っ張り合いがないことが主な原因です。
指先から誰かに引っ張られているような感覚を意識しなければ、腕のグラグラはなくなりませんし、もっと言えば体全体のバランスも維持できません。
上下左右で共に引っ張れていることが、体の軸を作る助けとなるので
「引っ張り合いっこ」
は地味に重要な身体の内なるムーブメントと言えるでしょう。
笑顔0%
とにかく笑ってください(笑)
たとえ綺麗に踊れたとしても、笑顔であるべき時に能面づらで踊っていると、見ようによっては、怒っているようにも見えてしまうし、面倒くさい感じで踊っているようにもなってしまいます。
昔、某バレエのコンクールを見ていた時、眠りのオーロラ3幕のヴァリエーションを緊張ためか完全に笑顔なしで踊っている女の子がいましたが、予選落ちしていました。
けっこう綺麗に踊れていたのですが、顔が緊張でこわばっているだけで、顔と顔より下の動きがアンバランスになってしまい、見ている側の気持ちを不安にさせてしまっていました。
大人バレエでは笑顔が0%なのは「あるある」ですが、楽しく踊っているように見えるだけでも、2割増しで見映えがするようになるものなので、緊張のため顔が引きつることもあるかもしれませんが、できるだけ笑顔を保つようにしましょう。
顔の向きと腕の動きの連動性がない
最後5番目のポイントは、上級者でもたまにできていない時がありますが、それは
顔の動きや向きが、ポール・ド・ブラ(腕の動き)とマッチしていない
ところです。
例えば、腕がアラスゴン→アンバー→アンナヴァン→アラスゴンというよくある腕の動きでも、顔の向きが正面のままだと、動きにダイナミズムが生まれません。
顔が指先あたりを向いて腕と連動して動けば、まるで顔と腕がアンサンブルしているような表現豊かな動きになります。
他にはアラベスクにする時やアンオーに腕を持っていく時に、顔の向きがまったく変わらない場面など、よく大人バレエに見かけます。
バーレッスンでいつもやっている基本的な動きを、きちっと舞台に生かすことを心がけるといいですね。
普段のレッスンでも、舞台ではどう見えるかを考えながらが、顔の向きと腕の動きの連動性を意識して練習に取り組みましょう。
最後に
あるバレエ教室の発表会で、振りに大きな技とかはありませんでしたが、「なんだか綺麗に踊れているな~」と思わせる大人の方の踊りを見たことがあります。
正直決して痩せているほうではない(むしろ太っている)女性の方でしたが、腕の動きや顔の向き、足の出し方などが丁寧で、大人なりにバレエの基本的な動きを守っていて見ていて綺麗だと思いました。
大きなジャンプや勢いのあるピルエットなどがどうしても目に行きがちですが、実は上記5つのような細かいところがバレエらしさとして現れてくるものです。
これはプロの舞台を見てても同じです。
ダイナミックなジャンプをしたと思ったら、その後のつなぎのパが雑だったりしてガッカリすることは、残念ながらプロのバレエ団の公演でもたまに見受けられます。
バーレッスンの内容が地味に舞台に響いてくるので、普段の練習から基礎をしっかりと意識してレッスンにのぞむことが大切ですね♪