バレエのレッスンでは、正確なポジション、音楽のテンポ、自分の身体の軸――それらすべてに同時に注意を向ける必要があります。
この全神経を研ぎ澄ませる時間は、心理学でいうフロー状態に非常に近く、仕事で抱えていたタスク、家庭での責任、人間関係の重圧といった日常の雑念が一時的にスッと消え去ります。
特に大人の男性は、仕事のストレスや役割の多さから、脳が常に「オン」の状態になりがち・・・。
だからこそ、バレエが与えてくれるフロー状態は、他の運動以上に精神的リフレッシュ効果が高いのです。
今回は、大人男性がバレエで得られるフロー状態について解説します。
「フロー状態(Flow State)」とは??
フロー状態とは、チクセントミハイが研究の末に明らかにした
「ある活動に完全に没頭し、集中している精神状態」
で、人が最も能力を発揮し、最も幸福を感じる状態のことです。
特徴は次の通りです。
目の前のことに完全に没入する
時間の感覚が薄れる
雑念が消え、思考が静かになる
努力をしている感覚さえ忘れるほど動きに集中
終わった後に深い充足感が残る
この状態は、
「自分の能力」と「課題の難しさ」がほどよく釣り合った時に生まれると言われています。
大人バレエのレッスンは、自分の適したクラスを選べば、まさにそのちょうどよい挑戦のレベルを自然に提供します。
さらにフローに入ると、
集中力を高める ノルアドレナリン
やる気や達成感をもたらす ドーパミン
心地よい高揚感を生む エンドルフィン
といった脳内物質が働き、精神面の充足度が一気に高まります。
社会的役割が重く、仕事でも常にマルチタスク状態の男性にとって、この心の静けさは非常に価値のあるものです。
バレエにおける「フロー状態」
バレエでフロー状態に入りやすい理由は、多くの要素が同時並行で求められるためです。
音楽のリズムを聞き取り、カウントを正確に刻む
体幹を使いながら軸を保つ
振付や順番を記憶し、次の動作を瞬時に判断する
バーでもセンターでも周囲の人とタイミングを合わせる
自分の体の微妙な重心変化を敏感にコントロールする
これほど多くの情報処理が同時に起きると、脳は他のことを考える余裕を失い
フロー状態:動きそのものに完全に集中した状態
が自然に生まれます。
つまりバレエのレッスン中、仕事の締め切り、上司からのメール、家のタスク、人間関係の気疲れ――こうした“仕事脳の雑音”が一時的にシャットアウトされるのです。
これはまさに
動く瞑想
とも呼べる状態で、バレエならではの精神的リセット効果です。
“効率”や“結果”に縛られがちな男性の思考が、バレエを通して解きほぐされ、より健やかな精神状態が得ることができると言えますね。
最後に
大人の男性にとってバレエの時間は、単なる運動ではなく「心が静かに整う時間」です。
フロー状態に導かれることで、仕事や日常のストレスを一度リセットし、新しいエネルギーと余裕を取り戻した状態で現実へ戻ることができます。
「雑念が多くて、脳が休まる瞬間がない・・・」
そんな男性にこそ、バレエの没頭の時間は大きな価値をもたらすでしょう。
