『白鳥の湖』といえば、誰もが一度は耳にしたことがある「白鳥のテーマ」。
現在広く上演されている3幕4場構成の『白鳥の湖』では、この「白鳥のテーマ」は、第1幕第1場の城の前の公園・広場から、第1幕第2場の湖畔へ場面が変わるところで聞かれます。

場面転換しながら湖や白鳥が現れ、また自己紹介がてらにロットバルトも登場し、軽く踊ったりすることもあります。
そのため現代の観客にとっては、「これから湖畔の場面が始まるんだ」という、場面転換のための“つなぎの曲”として受け取られることが多いでしょう。
ところが、実はこの音楽、もともとは、舞台転換の間奏曲的なものではなく幕開けの曲だったのです。

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もともとの『白鳥の湖』は「4幕構成」だった

1877年に初演された『白鳥の湖』は、実はもともと4幕構成でした。

第1幕
城の前の公園・広場
↓
第2幕
湖畔
↓
第3幕
宮廷内
↓
第4幕
湖畔

という流れで、現在よく知られている湖畔の場面は、第2幕として置かれていました。
つまり当時の観客にとっては

第1幕が終わる
↓
休憩
↓
第2幕が「白鳥のテーマ」で始まる
↓
湖畔の場面

という流れですね。
そして、第2幕の始めに登場するのが「白鳥のテーマ」です。
つまり本来は、「これから第2幕が始まります」という、まさに幕開けの音楽だったわけです。

ところが、今は「3幕4場構成」が主流

現在広く上演されている『白鳥の湖』では、3幕4場構成という形が定着しています。
これは1895年のプティパ=イワノフによる蘇演が3幕4場となり、第1幕が2つの場面に分かれたことが影響しているでしょう。

ブルメイステル版のように、原点回帰を狙った演出を重視して4幕構成にしているヴァージョンもありますが、現代の上演時間の感覚から、3幕構成が主流と言えます。
現在の構成を簡単に並べると

第1幕 第1場
城の前の公園・広場
↓
第1幕 第2場
湖畔
↓
第2幕
宮廷内
↓
第3幕
湖畔

という形です。
つまり、昔は「第2幕」だった湖畔の場面が、現在では「第1幕第2場」になったのです。

だから「白鳥のテーマ」の役割が変わって聞こえる!

昔の4幕構成では

第1幕終了 → 休憩 → 「白鳥のテーマ」で第2幕開始

でした。

ところが現在は、

第1幕第1場・城の前の公園
↓
「白鳥のテーマ」で場面転換
↓
第1幕第2場・湖畔

という流れです。

そのため現在の舞台では、「白鳥のテーマ」が第2幕の幕開けの音楽ではなく、湖畔へ移るための“つなぎの曲”のように聞こえるわけですね。
舞台の構成が変わったことで、同じ音楽の意味合いが変わって聞こえるようになったのが、ちょっと面白いところです。

「白鳥のテーマ=湖畔への場面転換」と見るバレエファンの方も多いと思いますが、もともとは「第2幕の幕開け」を告げる音楽と思って聴いてみると、いつもの「白鳥のテーマ」が、少し違って聞こえてくるかもしれませんね。

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