バレエレッスンでたまに「スポットをつける」という言葉が出てきます。
ピルエットの時などに
「もっと早くスポットをつけて!」
みたいな感じで指導を受けることがあります。
意味としては
「回転時に、視線を定めて、早く首を振る」
ことになりますが、日常生活では首を勢いよく振ることはないので、大人バレエの方はなかなか慣れないところです。
今回はこのスポットが必要な理由を、機能的部分と美学的部分に分けながらお話しし、スポットの練習手順について触れていきたいと思います。
機能的な理由
まずなぜ「スポットをつける」必要があるかの機能的な理由として2つ紹介したいと思います。
一つずつ見てきましょう。
目が回らないようにする!
まずは目が回らないようにすることですね。
やったことある人もいるかと思いますが、立ってぐるぐる回っていると目が回ります。
それを防ぐために見ている部分を一カ所に固定し
回転の過程が見えないぐらい早く首を回す
ことによって、頭がクラクラするのを避けるのです。
スポットには「地点」や「目」という意味があるとおり、「スポットをつける」という言葉はここから来ています。
まあ、1回転ならそれほど目が回ることはありませんが、回転数が増えていったり、マネージュ(舞台上を大きく円形に動く)をしたりすると、スポットをつけることが重要になってきます。
なので、初心者の方は1回転でもおそろかにせず、早く首を振る癖をつけるためにも、「スポットをつける」練習をしていきましょう。
回転力をつける!
もう一つは
「回転力をつける」
ことです。
回転の動力は、プリエの踏み込みや腕の動きなどでつけるところもありますが、1回転だけなら首の振りぐらいで回れるし、スポットも勢いをつける重要な要素です。
2回転以上になってくると、バランス良く回るためにも、回転力が不可欠となり「スポットをつける」ことがより重要になってきます。
スポットが正確に素早くついていると、回転力が増す形になりますので、回転数を増やすためにも「スポットをつける」練習は欠かせません。
美学的な理由
次に美学的な観点から「スポットをつける」理由を説明します。
スポットをつけないと、どんなに軸を取れて回れても、バレエらしさがなくなるので気をつけてください。
スポットないと、すべっているように見える!
まれにプロでもこういう方を見ます。
軸が見えていて3回転ぐらい回っているのに、首の振りがないので、なんだかすべっているのように見えます。
脚力が強い人やバランスを取る能力がある人に取っては、スポットをつけないほうが回りやすいこともありますが、バレエの回転をしていることにはなりません。
フィギュアスケートなどは首を使いませんし、人によってはそのほうが回りやすいかもしれませんが、バレエでは美しさも重要視されるので、必ず「スポットをつける」べきです。
スポットがついていると、シャープに見える!
スポットがしっかりついていると、すべっているように見えないので、シャープに回っている感じを出せます。
バレエは
錯覚の美学
と言われますが、スポットがついているだけで、たとえ回転スピードがなくても華麗に回っているように見えるものです。
メリーゴーランドのようにスルスルと機械的に回っているよりも、美しくダイナミックに回転している方が、バレエ的に断然カッコ良く見えますよ!
#バレエ
大人バレエに多い動きの一つに、スートゥニュのスポットがついてないことがある✴当然ピルエットもついてないので、体の回転にシャープさがない😓ゆっくり回っても首の回転が速ければ、目も回らないし見た目にも上手に回っているように見えるので、スポットをつけるのを忘れないようにしよう😊— ゴン@バレエ好き or ウィリに囚われし者 (@GONGZHImogutubu) May 12, 2022
最後に
舞台を見ていて、大人バレエだなあ~と思う動きを見かけますが、このスポットがついていないのも代表的なケースです。
典型的な「大人バレエあるある」と言ってもいいかもしれませんが、逆にきちっとスポットがついていれば大人バレエ的には上手な部類に入れるはずです。
スポットをつけて、よりバレエらしい動きに近づいていきましょう!