今回は腕の第2ポジションであるアラスゴンの注意点ですね。
バレエを始めたばかりだと、どうしてもただ腕を広げればいいだけみたいになりがちですが、バレエ初心者には最初は苦しい体勢とも言える形なので、注意して練習していきましょう。
【アラスゴン(a la seconde)】
『a』:場所を表す前置詞で「~で」「~に」
『la』:冠詞で、英語のtheに当たるもの
『seconde』:2番、英語のsecondに当たるもの
腕全体をピンと伸ばさずカーブを描くような形にする!
バレエ初心者によくある間違いとして、腕を横にピンと伸ばしてしまうことがよく見受けられます。
一見するとグッと伸ばしているように見えますが、正しいアラスゴンは横から見ると少し曲がっている感じです。
腕を曲げてカーブを作った方が、舞台からはより横に見える、安定した形の腕を見せることができます。
これは言ってみれば錯覚を利用した方法で、奇麗なカーブがあると腕が細くも見えるので、腕をピンと張らないようにしましょう。
アン・ナヴァンをそのまま横に開いた形なので、改めてアン・ナヴァンの形も確認しておきたいですね。
ひじから下はわきより前になる!
先ほどのカーブを描いた形とリンクしますが、カーブを描く腕だと、ひじより下はわきより前になります。
ひじより下も、完全に横にしてしまうと、舞台から見たら胸全体が開いて見えてしまいます。
舞台からどう見えるかを考慮すると、完全に腕を横にするより、前めに腕を作った方が、むしろ客席側からは横に見えます。
コンクールでよく、袖から走って登場する時などで、腕が真横になって上半身がかなり開いてしまっている人が散見されますので、常に形は守り通したいですね。
手首を曲げないで!
手首まで気が回っていない人、多いですね。
手首の問題だけでなく、指先まで意識が伸びていないことも原因なのですが、手首は基本的に手のひらが前を向きます。
指先の重要性についてはまた別にお話しする予定ですが、手首がたれているとみっともないので気をつけましょう。
アラスゴンの腕の作り方について
アラスゴンの腕の作り方について、いろんな指導方法がありましたが、ここで代表的なものを2つ紹介したいと思います。
アプローチが違っていても
ある表現ではしっくりこなくても、別の表現なら体にフィットすることもある
ので、参考にしていたければ幸いです。
大人バレエには、様々な指導方法・指導表現に接して、自分に合ったものを選ぶのが、上達の近道です。
「3段階」で作る方法
①腕を内側に回して、ひじを真後ろを向ける
バレエを習っていない人が普通に腕を広げると、ひじは下を向いているものですが、腕全体を内側に回して後ろからひじが見える状態にします。
②手のひらを外側に回して、前に向ける
さきほどの項目で説明したように、手のひらが内に入ったままだと、手首がだらんとしてしまいます。
ひじと手のひらが、ねじれる状態になり最初は大変かもしれませんが、手全体を外側に向けるようにしましょう。
③肩は外側に回す
ひじを内側に回すことで、肩が内に入ってしまう人も多いので、肩は外側に回しましょう。
肩回りが鎖骨から外に向くことができている方は、外側に回す必要なないですが、内側に入ってしまう人は、肩を外側へ回す感じだといいかもしれません。
「3段階」を採用する場合の注意点
この方法は、肩とひじと手のひらで3つに分けて作る感じです。
上にあげた順番通りにする必要はなく、やりやすいポイントでためしてみるのもいいでしょう。
それぞれの箇所で、外側に回したり、内側に回したりするので、ねじりが入って初心者には苦しい体勢ですが、これが美しい腕の運びにつながる基礎となるのでぜひ安定して形作れるようにしたいですね。
「2段階」で作る方法
①二の腕を内側に回す
ひじというより、二の腕全体を内側に回す感じです。
必然的にひじは真後ろを向きますね。
②ひじから下は外側へ回す
ひじから下を、外側に回します。
全体を回すので、手のひらも外側を向きますよね。
「2段階」を採用する場合の注意点
ひじを中心に、上と下で分けて、2段階で回していく方法ですね。
3段階に比べればシンプルな方法と言えますが、手のひらの形や肩周辺が正しい位置にあるかは確認しておきましょう。
「ひじカックン」しない!
アン・ナヴァンでもそうですが、ひじ落ちはアラスゴンでも、大人バレエには多い現象です。
ひじ周辺を内側に回す意識があれば、ひじ落ち現象は起こらないのですが、静止状態で立っている時はできても、動きが入ると落ちてしまう人もいます。
動作が伴うと、ひじが落ちてしまうのを
「ひじカックン」
と自分は呼んでいますが、ひじが垂れ下がっていると見苦しいので避けたいところです。
「ひじカックン」はわき周辺の筋肉の使い方も影響しているので、必ずしも腕だけの問題ではないのですが、まずは腕の仕組みを分解して構造がどうなっているかを把握して取り組むといいでしょう。
最後に
静止状態でも、アラスゴンのまましばらく立っていると、二の腕の下に張りがでてきて、けっこうきついものですので、特に初心者の方には大変だと思います。
バレエに関心のない人は、ただ腕を横に開いているだけと勘違いしがちですので、大人からバレエレッスンを始める人は、構造上の理解が重要になってくるでしょう。
アラスゴンの正しいポジションを把握して、レッスンの上達に生かしてもらえればと思います。