バレエ『白鳥の湖』第12曲――白鳥のバレエ・ブランへ向かう「助走」のような曲
『白鳥の湖』第12曲「情景(Scène)」は、第2幕の湖畔で展開される白鳥たちの場面の中で、次に続く白鳥たちの本格的な踊りへとつながっていく曲です。
この曲では、これから始まる白鳥たちの世界を感じさせるような、さらに幻想的な雰囲気が作られています。
第12曲の次に置かれているのが、第13曲「白鳥たちの踊り」。
そのため、第12曲は単独の華やかな踊りというよりも、白鳥のバレエ・ブランへ向かう「助走」のような役割を持った曲として聴くと、その存在が分かりやすくなります。
いわば、次の踊りへ観客を導いていく序奏、あるいはアントレ(入口)のような役割です。
「これから始まる白鳥たちの踊りへの導入部」という意味で捉えるとよいでしょう。
コール・ド・バレエが作り出す「白鳥の群れ」
白鳥たちの踊りへと場面が進むと、コール・ド・バレエ(群舞)ならではの美しさが見えてきます。
白鳥たちは、一人ひとりが自由に踊っているわけではありません。
何人ものダンサーが同じ動きをそろえ、隊列を変化させながら舞台を作っていきます。
前後のダンサーがきれいに重なり、舞台の奥から手前へと続くような縦のラインが生まれることもあります。
これは、とても幾何学的で美しい隊列です。
そして、隊列が変化すると、今度は白鳥たちが一つの大きな群れのように見えてきます。
特に印象的なのが、白鳥たちが逆三角形のようなフォーメーションを作り、一斉に両腕を広げる瞬間です。
何人ものダンサーが同時に腕を広げると、その姿はまるで――一羽の巨大な白鳥が、舞台いっぱいに翼を広げたようです。
一人ひとりのダンサーを見るというより、白いチュチュと腕のラインが重なり合って、「白鳥の群れ」そのものが一つの生命体になったように見えるのです。
これこそ、コール・ド・バレエだからこそ生まれる美しさなのかもしれません。
第12曲から羽ばたいていくコール・ド・バレエ
第12曲の場面で、これから舞台に現れる白鳥たちの世界を準備し、観客の気持ちを湖畔へと導いていく――。
そんな「助走」のような役割に注目して聴いてみると、第12曲の存在がよりはっきり感じられるはずです。
そして、その先に待っているのが、白鳥たちによる美しい群舞。
第12曲を聴きながら、ぜひその先に現れる「白鳥の群れ」を思い浮かべてみてください。
