バレエの Plié は、フランス語の plier(折る・曲げる)から来ています。
そのため、辞書的には

「膝を曲げる動き」

と説明されます。
確かに見た目としては膝が曲がり、身体が下に沈みます。
その意味では「曲げる」という言葉は、動作の結果を表す言葉としては間違っていません。
しかし、言葉を字義通りとらえてしまうと、誤った体の使い方をしてしまうかもしれないので注意が必要です。

実際の身体操作は「曲げる」ではない

バレエのプリエで、実際に行われている身体操作は、次のようなものです。

背骨を上に引き上げ続ける
股関節を外旋させる(アン・ドゥオール)
膝を横へ開く方向に送り出す

つまりプリエとは「膝を折る動き」ではなく

脚を横に開きながら重心が下がる動き

なのです。


この操作の結果として、膝が曲がり、身体が下に沈んで見える。
言い換えれば

曲げているから沈むのではなく、開いて保っている結果として沈んでいる

という構造です。

「膝を曲げる」と考えると起きる問題

もし言葉通りに「膝を曲げる」と意識してしまうと、次のような形になりやすくなります。

膝が前に曲がる
お尻が後ろに出る
上体が前に倒れる
股関節が閉じる

これはバレエでよく注意される「崩れたプリエ」の典型です。
本来のプリエは、上体は上に伸び続け、脚は外へ開き続ける状態のまま行われます。

プリエはむしろ「広げる動き」

バレエ的な感覚で言えば、プリエとは

床を左右に押し広げる
股関節を外へ開く
身体を上に引き上げ続ける

という力の中で、重心だけが下に降りてくる状態です。
多くの指導者がプリエの時に「引き上げて」「膝を横に」など繰り返し注意しますが、プリエが単純に曲げる動きではないことを身体的に指導していると言えるでしょう。

最後に:バレエでは「言葉=動作」ではない

プリエに限らず、バレエにはこうした例が多くあります。
用語は動きを説明しているというよりも、最終的な形や結果を表す言葉であることが多いのです。

プリエもまさにその典型。
言葉としては「折る」でも、身体としては引き上げながら外へ開く動き。
結果として、膝が曲がって見える。
この違いに気づくと、プリエの質は大きく変わるし、ジャンプ、ターン、すべてのバレエの動きの土台にもつながっていくのでしょう。