先日ある人に
「発表会に出ないのに、どうしてバレエレッスンに来るのですか??」
という質問を受けました。
今は事情があって発表会は控えているのですが、それでも足しげく教室に行ってレッスンに参加しているのを、発表会は出て当たり前と思っている人からみると、少し奇異に映るのかもしれません。
そこで、今回は発表会に出ないのにレッスンを頑張る理由を7点に絞ってお話ししたいと思います。
個人的な理由もありますが、発表会に出る出ないにかかわらず、皆さんにも同じ理由のものがあると思いますので、「あるある」として読んでいただければと思います。
また、同じように諸事情により発表会に出ることができない方の、レッスンへのモチベーションになれば幸いです。
★こんな人向け対象の記事です★
◎まだ一度もバレエ発表会は出たことないけど、レッスンは受けている方
◎今はバレエ発表会は出てないけど、レッスンは受けている方
◎バレエ教室で大人クラスを指導している方
バレエには中毒性がある
レッスンを続ける理由は、まず単純にバレエをすることが楽しいからレッスンを続けていると言えます。
でも、バレエは楽しさというよりも、どこか中毒性があるような気がします。
そう、麻薬と同じで、一度手を出してはまってしまうと、なかなかやめることができません。
休みの日や仕事でバレエに行けない日など、なんだか禁断症状のように気持ちが落ち着かないというのは、バレエレッスンに真摯に向き合っている方なら感じたことがあると思います。
有名なスターダンサーだった人が、引退してもバーレッスンだけは続けているように、言葉は悪いですが、バレエは一種の麻薬のように思うこともあります。
昔の有名なバレエ映画で『赤い靴』というのがあり、赤い靴を履いた少女が死ぬまで踊り続けるという内容のものでしたが、これなんかもバレエを好きになったらなかなかやめられないことのメタファーでしょう。
ちょっと仕事で疲れていても、レッスンには当然のように行くのは、単に楽しいだけでなく、麻薬のような中毒作用のようなものがあるのではないかと思います。
適度にレッスンをすれば、非常に健康的
先ほどはバレエを麻薬に例えましたが、自分の無理のない範囲でレッスンさえすれば、バレエは身体に非常にいいものです。
大きな負荷をかけず自分のペースで練習をすれば、心地のいい適度な運動となりますし、体が引き締まり代謝も高まりますので、非常に健康的と言えます。
また、レッスン中は先生から与えられた振りを覚えるために、脳をフル回転させるのでボケの防止にもなりますし、何より夢中になっている時は、職場であった嫌なことなどを忘れることができます。
バレエは芸術ですが、大人バレエにとっては、上手に付き合えば有効なストレス解消方法になります。
健康志向が高まっている中、バレエは非常に健康的なものと言えるでしょう。
家庭・職場以外の第3の場所として
よく家庭と職場以外に、第3の場所を確保したほうがいいと言われます。
家庭や職場は人間関係が密接なので、理性的な対応だけでは難しい時もありますし、両方ともこじれると心身に多大なストレスがかかります。
なので、それ以外に自分の居場所・自分を表現できる場として、第3の場所があるといいとはよく言われることです。
自分はその第3の場所として、バレエ教室を選択しています。
バレエ教室なら、家庭ほど密接な関係ではないし、職場よりは(基本的に)人間関係を強く意識する必要はありません。
また、オープンクラスもありますし、一つの教室だけに絞って行く必要もないです。
家庭と職場だけの往復になると、何か問題が起こった時に袋小路に迷い込んだりするときもありますが、そんなとき第3の場所としてのバレエレッスンが、どこかガス抜きになるような働きもすることがありますので、精神衛生上、非常に有益です。
バレエレッスンをすることに、時間と労力そしてお金を割くことになりますが、第3の場所の確保として考えると、それに見合った分のものは得ることができます。
バレエトークができ、また社会的な視野が広がる
世界的に見て日本のバレエ人口は多い(推計40万人)と言われますが、それでもバレエに興味を持っている人が、身近にたくさんいるということはありません。
なので、やはりバレエの話や情報交換をするにはバレエ教室が1番です。
今はSNS等でバレエに関するやりとりも可能ですが、レッスンでいい汗をかいた後に、少しバレエトークをするのは、とても楽しいものです。
また、バレエ教室にはいろんな職業の人がいるので、バレエ以外の情報も入り、社会的な視野を広げることができます。
一般的に仕事をしていたら社会人と呼ばれますが、一つの仕事だけに集中しているとその業界だけしかわからず、どうしても生活全般が閉鎖的になり、社会的な広がりはなくなってしまいがちです。
異業種交流とまでは言えませんが、大人バレエクラスの人たちと話していると、普段自分の仕事では発見できないような知識や視点を得られたりするので、バレエ以外のいろんな情報を手に入れることができると言えます。
ダンサーへのリスペクトを忘れないように
自分はともすると、プロのバレエ団の舞台公演で、ダンサーを厳しく評価しがちです。
例えば男性ダンサーならピルエット4回転以上は、プロなら当たり前と思ってしまっていますし、女性でも大きなジャンプをしても、その後のつなぎのパが雑だとどうしてもガッカリしてしまいます。
また、世界バレエフェスティバルで一流のダンサーの踊りを見てしまうと、他のダンサーに求めるバレエ技術のハードルが上がってしまい、一流ダンサーと同じ水準を求めてしまいがちです。
鑑賞力が高まれば高まるほど、ダンサーへの期待も大きくなるので、ともすればダンサーを上から目線でジャッジしてしまいがちになります。
なので、プロとしての立場でバレエをしている人たちは、普通の人にはできないすごいことをしているのだということを忘れないように、自戒するためにレッスンを続けているところもあります。
自分自身がレッスンをすれば、プロのような動きはできないことを痛感するので、バレエ団で踊っているダンサーの素晴らしさを再確認できますから。
お金を払っているんだから、何を言っても言ってもかまわないという人もいますが、常にダンサーへのリスペクトは忘れないようにしたいところですね。
バレエに興味のある大人男性が入りやすいように
世界的なバレエコンクールで日本人男性が入賞したり、海外のバレエ団で男性バレエダンサーが活躍しているためか、昔ほどバレエ=女子・女性がやるものというイメージは薄れているかもしれませんが、それでも大人の男性がバレエを始めたくても、地域によっては難しいところもあります。
いまだに大人の男性はお断りのバレエ教室は多いですし、たとえ教室に入れても非常に肩身の狭い思いをすることもあります。
そんな状況の中で、バレエを始めたくても始めの一歩を踏み出すことができない大人男性はいるはずです。
そんな人には、自分のような大人からバレエを始めた男性がいれば、バレエを始めるにあたって心強いと思いますし、すでに教室に男性がレッスンしていれば、誰も男性がいない状況よりは抵抗感なく始めることができるでしょう。
そういったバレエを始めようか迷っている大人男性のために、自分はバレエレッスンを続けていようと思っています。
実際に自分がいたことで、何人か大人男性が見学に来たこともありました。
本当は以前のように発表会に出て、大人からバレエを始めている男性の存在を舞台でアピールできればいいのですが、今はせめて教室に在籍することによって、男性大人バレエ学習者の需要を少しでも喚起できればなと思っています。
オープンクラスが、発表会の代わりになっている
一応定期的にレッスンをお世話になっているバレエ教室はありますが、自分は単発にレッスンを受けることができるオープンクラスも好きです。
ホームグランドはなじみの場所なのでリラックスしてレッスンを受けることができますが、時として緊張感が薄れてしまいます。
そんなとき、いつもと違う場所でレッスンを受けるのは刺激があって楽しいものです。
先生によっていろんな指導方法があり、新しい気づきもあったりしますので、非常にためになります。
そしてこのオープンクラスは、発表会の代わりのような側面もあります。
オープンクラスと言えども、常連さんは必ずいるので、教室に入るとみんなから一身に注目を浴びます。
かなりのアウェー感なので、不特定多数に見られているという点では、発表会と同じような状況となります。
そういう意味で、オープンクラスに乗り込むことは発表会の代替手段となり、ある意味レッスンを超えたイベントのようになるわけです。
発表会と同じですから、普段からのレッスンもきちんとやるようになりますし、オープンクラスは日々のレッスンのモチベーションを維持するためにも役立っています。
最後に
以上7つに絞って、バレエの発表会に出ないのに、レッスンを続ける理由をあげてきました。
もっとも、あれこれ理由を並べる以前に、レッスンを受けること自体が習慣化されていて、毎日意識せずに歯磨きをするのと同じぐらい日常生活に溶け込んでいる感じです。
発表会の雰囲気も好きなので、いつかはまた復帰したいものですが、今は日々のレッスンにいそしもうと思います。