今回は、大人からバレエを始めたバレエ学習者で、バレエ教室における男性のバレエ学習者の現状を紹介します。
様々な理由があって、男性でも大人になってからバレエを始めたいという方がいらっしゃると思います。
バレエはまだまだ女性のやるものという認識が日本にあり、男性がそんな女性社会に入っていくのは思いのほか大変です。
自分は男性で、大人からバレエを始め、ここ16年間で海外を含めて30教室以上のオープンクラスを受けてきたので、大人から始める男性バレエ学習者の方に参考になると思います。
また、女性のバレエ学習者の方やバレエ教室を運営している方にも、男性の大人バレエ学習者がどんな気持ちになっているのかわかるので、もし大人クラスに男性がいたときに参考になると思いますよ!
★こんな人向け対象の記事です★
◎大人の男性で、これからバレエを習いたいと思っている方
◎大人クラスに男性がいるが、どんな気持ちなんだろうと思っている女性の方
◎バレエ教室を運営していて、大人クラスを設置している指導者
※あくまでもこの記事の基本的な対象は、大人から初心者でバレエを始める男性を対象としているので、子供の頃から習っていた男性・プロとして活動している男性はまたちょっと記事の対象とは違いますが、男性が少数派である現状は変わらないので、何かの参考にはなると思います。
大人バレエ学習者の男性の割合は1.1%
昭和音楽大学舞台芸術センターバレエ研究所の報告書には、大人におけるバレエの男性学習者の割合は、なんと1.1%と報告されています。
この報告書の対象は、関東地方のバレエ教室に限られていますし、フィットネスクラブなどにあるバレエクラスは含まれてないのですが、全国的に見てもだいたいこの数字は現実を示していると言えるでしょう。
まあ、100人生徒がいれば、男性は1人だけということですね。
スーパー女性社会と言えますし、むしろ大人バレエクラスに男性が1人でもいれば、それはかなりのレアケースと言っても過言でないかもしれません。
そもそも最初から「男性はお断り」のバレエ教室が多い
男性の入会は許されてないことが多い
バレエ教室に男性がどれだけいるかという以前に、そもそもホームページなどで
最初から男性はお断り
という教室が多いです。
東京都内の教室には男性の入会オッケーというところはまだそれなりに見られますが、地方になるとかなり割合が減ります。
また、ホームページに「男性はお断りしています」とダイレクトに明示していなくても、大人クラスの名称に
「マダムクラス」「美容クラス」「ビューティークラス」
と書かれていて、暗に男性受け入れ拒否を表明しているか、大人の男性を生徒の対象とする発想がそもそもないことも多いです。
「大人クラス」「アダルトクラス」と書かれているので、体験レッスンの申し込みの電話をしても、男性の受け入れはしていませんと断られることもあります。
あるいは、のっけから警戒されて、かなりの塩対応ということも・・・。
中には、電話で今までの自分の経験年数などを話したら、「あとで大人クラスの女性たちに男性が入ってきてもいいか聞いてみるから、彼女たちの反応次第で受け入れるかを決めます」とも言われたことがあるので、やはり多くのバレエ教室の考えの根底として
「大人からバレエを始めたいという男性は(ほとんど)いない」
という考えが確かに存在しています。
それは極端な例えをすれば、男性から見たら
「相撲をとりたい女性は(ほとんど)いない」
と同じことなので不思議なことではないのかもしれませんが、どんなバレエの演目にも男性はいることも事実なので、最初から門戸を開かずに拒否するのは、男性としては少し寂しいところでもあります。
バレエ教室に関係するストーカー事件・殺人事件
とはいえ、バレエ教室側が男性を受け入れるリスクも理解できます。
2016年に東京・渋谷のバレエ教室で女性講師が生徒の男に指を切断される事件がありましたし、過去には小牧バレエ団の団員がストーカー行為をされた上、殺されてしまいました。
大きな事件にならなくても、不純な理由でバレエ教室に近づく偏執的な男性もそれなりにいるので、女性が経営主体になっているバレエ教室は、男性の入会希望者を警戒しなくてはいけないと言っても大げさではないと思います。
自分も東京都内の某バレエスタジオのオープンクラスを受けたときに、男から見ても怪しいな・・・という男性がいました。
皮肉な話ですが、男性である自分がもしバレエ教室を開いていたら、正直なところ男性の入会申し込みは、他の女性の生徒さんを守るためにも、かなり入会理由をしつこく問いただしてから入会の可否を判断すると思います。
真摯にバレエに取り組んでいる者にとっては、このような変質者はかなり迷惑なのですが、それでもやはり一定数は存在するので、一部のバレエ教室の男性の受け入れを拒否する方針は大いに理解できるものと言えます。
やっとバレエ教室に入れても、そこは強烈な女性社会
レッスンは男性1人も多い
もしバレエ教室に入れたとしても、そこからがまた大変です。
女性社会に男性が入っていくのですから、極端に言えば、もはやレッスンに男性がいることが女性主体である既存の秩序を乱すおそれがあると言えるでしょう。
温かい目で見てくれる人もいますが、中には得体の知れない生物を見るような感じで遠巻きに観察してくる女性もいらっしゃいます。
男性側がもともと子供からやってたり、ある程度経験があってそこそこ踊れればいいですが、そうでなければ
「こいつ何で入ってきた・・・」
という態度を見せてくる教室在籍年数の長い女性(長いわりにそれほどうまくもない)もいらっしゃいます。
スポーツクラブ・フィットネスクラブ・いくつかのジャンルがあるダンス教室などは、男性がいてもそれほど違和感がありませんし、男子対象のボーイズクラスがあるバレエ教室はまだ孤立はしませんが、女性だけのバレエ教室では、好奇の目で見られ、かなり肩身が狭い場所です。
周囲からの白い目にさらされる
周囲から好奇の目で見られると先ほど述べましたが、誰よりも白い目で見てくるのは、生徒である女子や大人クラスの女性ではありません。
小中学生の女子のクラスの保護者
です。
バレエが好きでけっこう詳しい方は、フレンドリーに接してくれることもあるのですが、自分の子供に手を出さやしないかと不安になって攻撃的な発言をされる方も、まれにですがいらっしゃいます。
もちろん、先ほど言ったように、一定数のビミョーな男性も世の中にはいるので、そんな発言をしてしまうお母さんを責める気はないのですが、教室によってはオープンクラスでも送迎をしている保護者とすれ違うこともあるので、それなりに適切な対応をする必要も出てきます。
男性用の更衣室がない・トイレも女子のを使う(共用トイレとして使う)
そして、これは男性バレエあるあるかもしれませんが、男性用の更衣室がないことはよくあることです。
レッスン前なら、教室に行く前にコンビニで着替えたり、レッスン後は最後に女性が出た後に着替えたりと工夫しながら、対処するしかないです。
トイレでももちろん着替えることはあるのですが、このトイレも男性用があるというのも珍しいことで、だいたい女子・女性と同じトイレを使用します。
なので、男性が入ることによって、本来女子トイレであったものが、共用となるわけですね。
気にしすぎかもしれませんが、思春期の子とかデリケートな女性に申し訳ないと思うこともありました。
なので、男性用更衣室があるバレエ教室に出会ったときは、泣けちゃうほど嬉しかったです(笑)
下心があってバレエ教室に来る男性は、レッスンで浮いてしまい長続きしない!
ここで、下心があってバレエ教室に入ろうとしている男性にお知らせです。
良からぬ考えを持って、バレエ教室に入れたとしても、まずレッスンについていけず、すぐに居場所がなくなるだけです!
そもそもバレエ教室で先生が個人個人に手取り足取り教えてくれることはほとんどありません。
次々と先生が振りを繰り出してくるので、それを淡々と必死にこなしていくだけです。
それについていけずに、まわりの踊れる人と比べてしまい恥ずかしくなってやめていく人は、そもそも女性でもたくさんいます。(恥ずかしがる必要はないのですが・・・)
始める前にバレエ用語(フランス語)をある程度知っておく必要がありますし、それなりのバレエの知識を持っていないと、レッスンについていけません。
入会金も払わなくてはいけないし、シューズ代やチケット代もばかにならないなので、本当にバレエに興味があって、それに没頭したい気持ちがなければ、バレエレッスンなんてはっきり言ってただの拷問でしかならないと思います。
比喩的な言い方をすれば、バレエレッスンはほとんど宗教に近いものなので、よこしまな心で入ってくるものは、バレエ信者さんたちにはすぐにわかってしまいますよ。
最後に
いろいろ書いてきましたが、純粋にバレエをやってみたい!という男性もいらっしゃると思いますし、男性の自分としてはもっとバレエ仲間が増えてほしいと願っています。
バレエ教室に入会する方法は、男性講師がいる教室を探す、フィットネスクラブでコネを作るなど、様々な方法があるのですが、それはまた別の機会にご紹介したいと思います。
バレエは、はまればこの上なく楽しいものなので、できれば男性バレエ学習者も増えてほしいのですが、とりあえずは現状はまだまだ女性社会であるというお話でした♪