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バレエ『くるみ割り人形』の「金平糖の精」は誤訳!?本来は【ドラジェの精】だけど変えるべき!?

今回は『くるみ割り人形』に出てくる「金平糖の精」ドラジェの精が本来の呼び名という話です。

金平糖の精の原題は「Danse de la Fee-Dragee」で、原語通りに日本語に訳すと「ドラジェの精の踊り」になります。

※Danse⇒踊り de⇒英語のof la⇒英語のthe Fee⇒妖精 Dragee⇒ドラジェ

金平糖とドラジェは似て非なるものなので、実際の形状だけから考えると、踊りのイメージも違ってきてしまうかもしれません。

一部の人の間ではよく知られているので、もう「金平糖の精」とは呼ばずに原語である「ドラジェの精」にしようという話も聞きます。

そもそも金平糖もドラジェもいまいちよくわからないという人もいると思うので、今回はそれらも紹介しながらお話ししますね♪

「金平糖の精」の踊り

まず、「金平糖の精」を念のためおさらいしておきましょう。

簡単に言えばバレエ『くるみ割り人形』の2幕で、お菓子の踊りのオンパレードの最後に出てくる女王(偉い人)です。

上の動画にあるグラン・パ・ド・ドゥの女性ヴァリエーションはコンクールでお馴染みですし、チェレスタという当時まだ珍しい楽器を効果的に使った曲としても有名ですね。

衣装に包まれながらも、お菓子の国のトップとしての品格も備えた踊りです。

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金平糖

そして、実際のお菓子の金平糖はこんな感じです。

あとでご紹介するドラジェに比べると、少し硬質感のある感じです。

表面に凹凸状の突起があり、ごつごつとして硬さを感じます。

砂糖でできていることには変わりないし、時にはドラジェの区分であるハードドラジェの一種とも言われるので、金平糖の精という訳し方も、大きく外れた訳ではないと言えます。

ちなみに金平糖はポルトガル語のコンフェイト(confeito)からきており、カステラのように南蛮文化として取り入れられたので由来は同じですね。

ドラジェ

次にドラジェですが、写真ではこんな感じ。(トップ画面の写真もドラジェ)

丸みをおびていて、柔らかいイメージのあるお菓子ですね。

基本的にアーモンドに砂糖チョコレートコーティングしてできています。

出産や結婚などのお祝いで用いられ、結婚式の打ち合わせの時に、最後に招待客に配るお菓子として、ウェディングプランナーさんに提案された人もいるかもしれませんね♪

オススメのチョコレート専門店を紹介しておきますので、機会のある人はご利用してみてください。

テオブロマさんのドラジェ

「ドラジェの精」に変えるべきか??

ここまで見てきたように、金平糖とドラジェは糖衣菓子という点では同じですが、一般的なイメージとしては形状的にも食べ応え的にも大きく異なるものです。

お菓子の違いを知っている人にとっては、ドラジェと呼ぶほうが踊りとしてもしっくりくるかもしれません。

ドラジェという原題であることをを知らずに、実際のお菓子の金平糖をイメージして金平糖の精を踊ってしまったら、場合によっては動きに悪影響も出てしまうかもしれませんよね。

もっとも明治か大正時代に、ドラジェと言われてもピンとこない人も多かったでしょうし、そういう意味では金平糖と呼ぶことにしたのは名訳?と言えるかもしれません。

少なくともバレエさえ流通していなかった当時の日本人からすれば、異国情緒を感じる南蛮文化の一つでもあった金平糖の発音の響きのほうが、踊りに近いイメージだったはずなので迷訳ではないでしょう。

それにドラジェという言葉は総称的に使われる時もあり、金平糖もドラジェの一つと言えるので、金平糖の精という訳はまったくの誤訳であるということはないです。

最後に

バレエ教室の方に

「ドラジェって知ってる??」

とい聞いたら「知らない」という人も少なからずいたので、個人的には金平糖の精のままでも慣例的にはいいと思います。

実際のお菓子のドラジェがもっと馴染み深いものになれば変えていくのもいいかもしれませんが、現段階では金平糖の精のほうがむしろピッタリな呼び名とも言えるでしょう。

もっとも金平糖を知らない世代もいるので、寝た子を起こすなではないですが、ドラジェも金平糖も知らないままチャイコフスキーの美しい音楽のイメージに従って踊るのいいかもしれませんね♪