遅まきながら『ターミネーター：ニュー・フェイト』をｄＴＶで鑑賞しました！
興行収入もふるわず、批評家からも受けがよくないことは聞いていましたが・・・
意外に楽しめましたよ！！
特に、『ターミネーター２』がお好きな方には、オススメです♪
今回はこの『ターミネーター：ニュー・フェイト』に関して、以下の内容でご紹介しようと思います。
●良くできた映画ながら興行収入がふるわなかった原因２点
●それでも、鑑賞をすすめる理由２点
興行収入がふるわなかった原因
前三部作を全否定するやり方がマズイ
ジェームズ・キャメロン監督が離脱した３作目・4作目は一応は時系列に沿っていました。
ただ、５作目はリブートして、また新たな物語に仕切り直したんですね。
そう、今作は仕切り直しを、繰り返したってことですね。
しかも観客には「前3部作はいったん忘れて頂いて、１９９１年の『ターミネーター２』に戻って頂いて御覧くださいな♪」という消費者に負担を背負わすような設定なんです。
百歩譲って、それをよしとしても、シュワルツェネッガーが前作も登場しているとなると、今までのファンとしては、結局のところ「大人の事情でまた新しくやり直しました」感（金儲けしたい）をどうしても意識されてしまいますよね。
この、「なかったことに」する手法は、昨今のネタ切れしているハリウッドでは、『ハロウィン』の続編や、数々のリブート作品をはじめとしてポピュラーなやり方なんですが、一作ごとに繰り返されると、やはり新鮮味にかけてしまいますよね。
本作は「なかったことに」したものを、再び「なかったことに」して撮ったところが、すでにもうマイナスポイントなんですね。
ただでさえ前３部作が興行的に（内容的にも）こけてしまっていては、再浮上するにはどうしても難しい状況だったと思います。
多様性のある社会への潜在的な嫌悪
「多様性のある社会」「ダイバーシティ」
これ、いいことですよね、国籍や性別など多様な価値観・文化・生活様式を認め合うことは、グローバルな社会においては重要なことだと思います。
・・・が、それでもやはり自分が生まれ育ってきた場所以外の価値観を受け入れられない人は多いものです。
日本でも外国人の流入が増加していますが、地域社会で文化・習慣の軋轢が生じて問題になっていますし、そもそも人間は未知のものに対して拒否反応を抱くものです。
ドナルド・トランプ大統領が人気を誇っている背景には、非白人系に対する隠れた不満を持っている白人層の潜在的な感情を吸い上げたからでした。
それだけ、移民社会でありながら、心の底では移民を毛嫌いしている国民感情があるのではないかと思います。
米国の国勢調査局の予測では、2044年までに非ヒスパニック系白人が人口に占める割合は50％を割るとされています。
米国の人種間の関係と白人の地位が変わるのは近い将来ほぼ確実です。
そんな状況で、ややポリティカル・コレクトネスを意識したと思われる映画は、白人層からみれば、気持ちいいものではないでしょう。
日本人で、移住してきた外国人が日本の救世主となるのに抵抗感を抱くのと同じで、移民のヒスパニック系女性が救世主となる設定に反感をおぼえる白人層は多いと思います。
この映画は、非ヒスパニック系白人には、意識するしないは別として、潜在的に嫌悪する要素があるのは事実でしょう。
それでも、鑑賞をすすめる理由
テンポのいいストーリー展開
未来から殺人マシーンが送られてきて主人公たちを追い詰める展開は、ちまたで言われているようにマンネリパターンかもしれません。
また、ジョン・コナーが冒頭であっさり殺されてしまい『ターミネーター２』の激闘は何だったの？って気分になってしまうのは、いたしかたないかもれしません。
ただ、それでも、冒頭の殺害シーンのＣＧの完成度は見る価値があるし、また物語がテンポよく進んでいくので、見る人を常にハラハラさせるような作りとなっていました。
さらに戦闘場所が、メキシコシティーから始まり国境を越えてアメリカに逃げるという設定から、ロードムービーとしての楽しさも感じられました。
若干カット割りの激しい部分があって、誰がどこにいるシーンなのかわかりづらい箇所もありましたが、国境あり、ヘリコプターあり、刑務所ありと戦いの場所が、話が進むごとに変わっていくのが、激しいアクションに花を添えていたととも言えると思います。
最後のダムのシーンの格闘も印象的でしたしね。
グレース役のマッケンジー・デイビス
ストーリー設定だけでなくキャラクター設定もよかったです。
リンダ・ハミルトンの「いいおばちゃま」ぶりも良かったですし、シュワルツェネッガーの年老いた故に出てくる貫禄ぶりもいい味を出していました。
また、キャスティングも現代の感覚にアップデートされており、多国籍な俳優が集められ、役柄の設定も多彩でした。
しかし、一番はなんと言ってもグレース役のマッケンジー・デイビスでしょう！
背もすらりと高く、ショートヘアーでどこか中性的な魅力が出ていました。
アクション映画でも、印象的な演技が残る場合もあり、たとえば『ハンガー・ゲーム』のジェニファー･ローレンスが挙げられますが、それに匹敵するぐらいの良い味を出していました。
今後の活躍が楽しみな女優さんですね。
まとめ
いきなりジョン・コナーが殺されてしまい、アクション映画の傑作『ターミネーター２』を傷つけられ、自信の思い出も傷つけられたと思う方も多数いると思います。
正直、自分は『スターウォーズ』シリーズでハン・ソロが殺された時も、そういう残念な気持ちになりました・・・。
ただし、作品として上質なアクション映画となっていますので、もちろん『ターミネーター２』を超える作品ではないですが、一見の価値はありますよ。
ぜひ御覧になってくださいな！！
